26年前

2014年11月28日 金曜日

キャンドルとの最初の出会いは、26年前でした。


その26年前、まだ小学生の当時、親の仕事の関係で新潟県の新潟市に住んでいました。


新潟の街の事など、細かい記憶は薄くなっていますが、多国籍料理屋さんの「La.Florida」さんだけは、ずっと覚えていました。




ラ.フロリダさんはパスタやピザ、ヴォンゴレ、をはじめ、当たり前の料理を本当においしく提供してくれるレストランでした。


和食中心の家庭料理が多かった自分の家の料理と比べると、当時小学生の自分にとっては、数ヶ月に一回、日曜日の昼間に食べる「ラ.フロリダ」の料理は、とんでもない御馳走でした。

それもあって、本当においしかった記憶がずっと残っていました。


ラ.フロリダの記憶が鮮明に残っているもうひとつの理由に、各テーブルに一本ずつ置かれた、キャンドルでした。



雰囲気のあるお酒の空き瓶の先端にキャンドルを立て、ロウが垂れて、短くなったらまた新しくキャンドルを立てて。

そうやって、毎日何年も灯され、たくさんのロウが垂れたキャンドルは、子供の僕に心に強く印象づけました。


新潟には5年間だけ住んでいましたが、何回か通ったラ.フロリダのマスターに、その酒瓶のキャンドルを譲っていただきました。




今もその26年前の「ラ.フロリダ」のキャンドルはアトリエショップに置いていて、たまにキャンドルを立て、火を灯しています。





大人になって、車のメカニックになって10年。

その後キャンドルアーティストとしての活動を始めてから、いつかラ.フロリダに行ってマスターにお礼を言いたいと、ずっと思っていました。


今年、自分のお店を持てた事もあって、ようやく先月、26年ぶりに新潟市のラ.フロリダに行く事ができました。




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新しく作った2本の円柱キャンドルと、26年前にもらったキャンドルを持って。






強面のマスターは今もご健在で、事情を話すと、とても喜んでくれました。


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そして、僕の目に嬉しかったのは、店内すべてのテーブルに、キャンドルが置かれていた事でした。

それも、当時と同じ銘柄の瓶が使われていました。



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聞けば、マスターが大阪で修行をした後、28年前に新潟に新規店舗をオープンさせる時、10本のキャンドルを電車で手荷物で運んできたんだそうです。

僕が、26年前に戴いたキャンドルは、その大阪から運んできた10本のうちの1本でした。


思い出話をしながら食べるマスターの料理は、本当においしかった。



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スープも飲み干したい、大きいアサリのヴォンゴレ




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4種類のチーズをブレンドした芳醇なピザ





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もちもち食感の、ペペロンチーノ




シンプルな料理だけど、どれも個性があって、印象に残る味でした。



2時間ほどの短い滞在でしたが、マスターとお話をできる事が、嬉しくて嬉しくて。



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「手」には仕事が現れます。


僕も、メカニック時代の手と、キャンドルを作っている今の手は全然違います。
指は細くなったし、皮も薄くなってゆびは柔らかくなったし、二の腕の筋肉も細くなった。そしていつも顔料の色が手のあちこちについていたりします。


マスターの手は、もう、すごかった。

とにかく手が発達していて、腕の太さからは考えられないほど指と血管が太くて、手全体が大きかった。


その手に、マスターの人生があるような気がして、かっこ良かったです。



あれこれドッサリとお土産をいただいて、帰る4時間の帰り道。

道中ずっと、胸の奥が暖かくて、その暖かさが信じられないくらいで、なんと言うか「満たされた」という言葉がしっくりくるような、幸せな余韻でした。







マスター、ありがとうございました。
また、必ず行きます。
お元気で。



ラ•フロリダ
新潟県新潟市中央区東堀通6番町1043
025-224-9650