道具
2015年9月21日 月曜日
日々制作に使う道具。
よく使うもの、たまにしか使わないもの、ほとんど使わないもの。
いろいろあります。
よく使うものでも、手になじまないものはすぐ使わなくなってしまったり、新しく買い替えたりします。
気に入ったもの、手になじむもの、思い入れがあるものは、ずっと使いたくなります。
でもその新しく手に入れるものが手になじむかどうかは、使ってみるまでなかなかわかりません。
その代表が、キャンドルを始めて5年半使い続けた「手袋」です。
その手袋は「PFC」というブレーキメーカーの、レース用のメカニックグローブでした。
高温にも強く、手のひらのプロテクターも適度な厚さで、程よいクッション性を持ち、動きもスムーズで、元メカニックの自分の手に心地よく馴染みました。
左手は熱い鍋を持ち、右手は刃物を握る。
力を入れる右手の損傷が激しくて、ここ2年ほど、別のブランドの新しい手袋をいくつか入手してみたけれど、どれも気に入らず、三回も使わないうちに別の用途の為の手袋となっていきました。
なんで、他のグローブだとダメなのかといった理由は僕にもわかませんが、今まで作ってきた「刃物」を入れたキャンドルの大半をこの右手の手袋をはめてきたわけで、手袋なりにもプライドがあるのか、その右手のポジションを後進に簡単に譲ってくれません。
とはいえ、さすがに右手袋はもう限界で、本気で新しいものに変えたいと思います。
折角だから、また次の5年使える様な、良いものと出会いたいです。
とはいえ、新しい手袋を入手した所で、簡単にゴミ箱に投げ入れる事はできなそうです。
キャンドルの事などまだ何もわからない最初の最初から一緒に頑張ってきた、僕の手をずっと守ってくれた、相棒のひとつですから。
今自分が持っている持ち物の中で、一生捨てないであろうモノって、本当に数少ないはずです。
家に倉庫や蔵がある人ならともかく、実家が無い自分にとって、ものを生涯保管をする場所はありません。
手元に置いておけるものが全てです。
その中でも、
2011年に亡くなった、爺ちゃんの刃物。
これらはきっと、一生捨てない。
そう思いながら、手入れがおろそかなのは申し訳ないですが。
例えば、年期の入った爺ちゃんの鑿を握るとき、いつでも、頭の片隅に、ほんの少しでも爺ちゃんのことが浮かびます。
爺ちゃんはこれらの刃物で、毎日材木を削り、家を建て、家族を養ってきた。
そうした毎日の積み重ねのおかげで僕がここにいる。
という事も、たまにふわりと自分の中の何かを通り抜けていきます。
どんな素晴らしい刃物に出会ったとしても、きっとこの刃物は僕のそばにいます。
着物職人だった、母の裁ち鋏。
母はまだ元気に生きていますが、これも大事にしています。
ロウで汚したくなくて、キャンドル制作にはほとんど使いませんが、この冬、制作予定の布物の装飾物の時に使う事を今から少し楽しみにしています。
そして、今日から僕のアトリエに仲間入りしたのがこちら。
切出し
今までは木の鞘付きの小刀を使っていたのですが、鞘無しのものを使ってみようと初体験です。
制作に、一番良く使うのが小刀なので、新しい刃を試すのが楽しみです。